保健所をはじめ全国の保健施設で「三・三・三運動」がすすめられてきました。これは石けんメーカーと一部の歯科医が作り上げたものであることを知っておいてください。
「三・三・三運動」とは一日三回、食後三分間以内、三分間歯を磨きましょうという運動です。
これをきちんと守った場合、年間で五〇時間、十年間で五〇〇時間以上も歯の表面を磨くことになります。これでは歯の表面の琺瑯質に影響が及ばないはずはないでしょう。
歯は磨くものではありません。歯・歯間・歯肉の汚れを落とすことが重要なのです。歯肉をマッサージするのもよいと思います。
それ以前に、歯を汚す食べものを摂らないようにすることが大切です。歯を汚す食べものの双璧は砂糖と油脂です。
終戦後、砂糖と油脂の入った食べものが激増していることが歯の病気(とくに虫歯)を増やしていることに目を向けるべきです。
こんな実験もあります。兎を二群に分け、全く同じ食べものを与えます。そして、同量の砂糖水を、一方には経口的に、他方には腹腔内に注入します。その結果、虫歯の発生率は全く変わりがなかったのです。経口的であろうとなかろうと虫歯の原因になる食べものを身体に入れてしまえば、歯を磨いても意味がないことになります。
私事ながら、私は歯を磨いていません。食後によくうがいをして、お茶を飲むことを習慣にしています。そのおかげか、小学校一年生の時に一回歯医者にかかって以来、七十年間歯医者のお世話には一切なっていません。
このようないきさつを、東京医科歯科大学予防歯科学助教授の志村則夫さんは、その著書の中に「食後の歯磨きの習慣が人間をダメにする」とまで記しておられます。
(参考文献)
志村則夫
歯周病より怖い「歯みがき」病
(アドア出版) |