終戦後六十年あまり、日本人の体位(身長、体重など)の大形化には目をみはるものがあります。
もちろん、体が大きくなることに異を唱えるつもりはありません。しかし、あまりにも急激に大型化すると、内臓の働きがそれに伴わなくなってしまうのです。
大きくなった分だけ、肝臓に余計な負担がかかるために肝炎・肝硬変・肝臓癌などが増えてきています。
腎臓はそれだけ余分に尿を排出しなければなりません。その負担が増したため、かつてはほとんどみられなかった人工透析をしなければならない人が増えているのです。
心臓はそれだけ余分に血液を送り出さなければなりませんから、突然死・スポーツ中の急死・過労死などが増えるのも当然です。
それでは、なぜこれほどまで急激に身体が大きくなってしまったのでしょうか。それはひとえに、終戦前にはあまり食べていなかった動物性脂質の過剰摂取によります。
ひとの食べものの中には様々な栄養素が含まれています。その代表格が三大栄養素(蛋白質・糖質・脂質)です。これらの同じ量を身体に取り入れた時、脂質の場合は蛋白質・糖質のほぼ三倍の熱量を発生することになります。
つまり、脂質(とくに動物性脂質)の摂取量が増えれば増えるほど、体が大きくなるのは当然のことなのです。
終戦(昭和二十年)以前、私どもが子どもの頃には天ぷらやフライなどは滅多に口にすることはありませんでした。それが私どもの健康を支えていてくれたのです。
いまや、天ぷら・フライはもとより、動物性脂質をたくさん含んだ調理が、日常茶飯のように食卓を飾っています。こうした脂質過剰の食品の摂取に歯止めをかけて、子どもたちの大型化、ひいては病気の予防を心がけていただきたいものです。 |