私が医者になった一九五五年、日本の人口は八〇〇〇万人、
年間総医療費は二三八八億円でした。
今の人口は一億二〇〇〇万人と一.五倍に増えています。
一方、医療費は三十四兆円と何と一四〇倍にも増えています。 これ以上、
医療費を増やさないためには、衣・食・住全般にわたって、
自分の生活を見直すことが不可欠になります。 その際、
大切なのは、欧米化してしまった生活環境に歯止めをかけ、
一九四五年頃までは日本人として当然だった生活形態を一刻も早く取り戻すことでしょう。 食に関しては三つのポイントがあります。
第一にできるだけ自分の住んでいる土地の近くで採れる食べ物を食べることです。
かつては「三里四方のものを食すれば病せず」といわれたものです。
第三に、もっとも大切なことは「生きもの」を食べることです。
生き物の生命をいただくわけですから、食卓ではいつも感謝の気持ちを失ってはなりません。 衣・住に関しては、
ともに通気性に配慮することです。衣類の素材は木綿・麻・絹など空気の通るものでなければならないのです。
もっともさけるべき衣類はパンティストッキング・ブラジャー・紙おむつなどです。
住居に関しては、気温と室温の温度差に気をつけましょう。
気温と室温の差が大人で摂氏十度、子どもで摂氏五度以上になると、
自律神経系やホルモンのバランスが崩されてさまざまな病気の引き金になります。 たとえば冬の場合、
戦前の湯たんぽ・炭のこたつや火鉢・囲炉裏などによる暖身、
戦後の主として電気製品による暖房とを比較すると、
病気が増えて医療費が激増するのも当然だと思います。 こうして、
毎日の生活の中で、日本人にとって好ましい環境を整えて、それを継続していくことで、
自分を、ひいては子どもたちの心身の健康を守っていただきたいものです |