終戦後六十年、この間に日本人の体位(体重・身長など)
が有史以来かつて見られないほどに大型化したことはどなたも感じておられることでしょう。 終戦前の日本人の平均身長が、男子は一五〇cm台、女子は一四〇cm台だったことを考える時、
現状の大型化がいかに異常なものであるかがわかります。 もちろん、
身体が大きくなることが悪いとは思いません。しかし、
これほど大きくなるには何百年.何千年という期間がないと内臓がついていけないのです。 肝臓はそれだけ余分なものを解毒して体外に出さなければなりません。肝臓の負担が大きくなり、
肝炎・肝硬変・肝臓癌など肝疾患が増えてくるのは当然です。 腎臓は余分な部分について尿として出していかねばなりません。
それが、五十年前にはほとんど行われていなかった腎透析を激増させ、医療費の増加を招いています。 心臓は大きくなった部分に余分に血液を送り出していかねばなりません。
それが、かつてほとんどみられなかった突然死やスポーツ中の休止を生み出しています。 この急激な大型化の原因ははっきりしています。
戦前の優れた日本の伝統食文化が急激に欧米化したことによります。 なかでも、
双璧は、飽食(熱量の過剰摂取)と美食(動物性蛋白質の過剰摂取)によります。
これがさまざまな病気を生み出し、ここ五十年間で、
日本の総医療費を一三二倍にまで引き上げてしまった大きな要因になっているのではないでしょうか。 いまこそ、
二千年前に医聖といわれたヒポクラテスが残した二つの言葉に謙虚に耳を傾けていただきたいと思います。 「食で治せない病気は医もこれを治せない」「人(二千年前のギリシャ人)は、
食べ物を四分の一は自分のために、四分の三は医者と薬屋のために食べている」 |